アルバイトの賄いはうまい。というか、腹減ってアルバイトに入るから当然、腹は唸る。それを聞いて女将さんはクスッと笑ってから「早くご飯を食べな」と言って出してくれる。賄いは全て女将さんが作っている。お店に出す料理の仕込みで出てきた端切れで作る。これがうまいんだ。
賄い飯は居酒屋開店する前に食べる。
店に入るのは17時30分までに
入ることになっている。
店に入り着替えてから、賄い飯を
食べることになる。遅刻は厳禁だ。
板長である旦那さんと女将さんと
もう一人の焼き方がいて、あとは
アルバイトが三人の合計6名で
居酒屋をやっている感じだ。
面接の時に言われたことは
無断欠勤したら即クビ。
風邪引いても、風邪かどうかは
女将さんが判断する。18時から
23時30分まで営業している。
実際には掃除して、洗い物をして
だいたい0時30分ごろ終わる。
終わる頃に夜食のおむすびが
1個支給される。
アルバイトの学生は男子1名
女子2名である。
おいらは力仕事担当だ。
配膳する女将さんと2名の
女子大生はフル稼働で注文と
配膳をこなす。
裏でビールなどの酒を作り
洗い物をするのが俺。
客がタバコが欲しいと言ったら
俺が裏口から出て向かいのコンビニ
まで買いに行く。
洗い物は真剣だ。
食洗機を使わない親父さんの
方針とこだわりはわかるが
かなりきつい。
腰にくる。
野球をやっていた俺がきつい
と感じるからね。
板長である親父さんは厳しい。
焼き方、煮方を兼ねる兄さんは
俺より5歳上だ。
高校を卒業後アルバイトから
そのまま居ついているらしい。
この板長と女将さんの間には
子供がいない。
だから、俺たちをやたらと
可愛がってくれる。
客が帰って店閉めて
それから帰宅する。
女子大生は女将さんが車で
送ってくれるが、俺はいつも
歩いて帰る。
1限目の授業がちょっと厳しい感じだが
出ないとやばい。なと言っても居酒屋の
アルバイトは休んではいけない。
その代わり
払うものはきちんと払ってくれた。
毎週日曜日が休み。
ランチはなし。
24時間営業の店が店を閉めている。
人が集まらないから経営ができない。
女将さんが
「無理して経営するからダメなのさ。
うちの店見てみなよ。時間とくる客が
同じだろ」
確かにそうだ。
いつもの時間にやってくる客が
来ないと「どうしたのだろうか」と
思うのだ。
客の注文は細かいのだ。
「ハイボールの炭酸を濃いめにして」
「炭酸の量を増やすのですか?」
「違うよ」
「どうすればいいさ」
女将さんがやってきて、これを使ってと
出してきたのは、みたことの無い容器だ。
女将さんがその容器を逆さにして
レバーを引いいたら、すごいパワーで
炭酸水が出てくる。
「客の好みで炭酸水を作るのさ」
へーそこまでやるのか。
感心している場合では無い。
今日も、超満員の居酒屋なのだ。
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